自宅で進める方法では、注意事項の一覧を渡されます。6つ、8つと並んでいて、どれも「守りましょう」と書かれています。ただ、全部を同じ重さで守ろうとすると、続けるほうがつらくなります。逆に、ひとつ破ってしまったときに、それがどのくらいまずいことなのか分からず不安になることもあります。
一覧の問題は、項目の中身ではなく並べ方にあります。注意事項は、破ったときに何が起きるかで3種類に分かれます。気づいた時点でやめるべきもの、やり直しが発生するもの、結果が遅くなるだけで取り返せるもの。この記事ではその3つに分けたうえで、注意事項の多くが守っているのは歯ではなく歯ぐきと粘膜だという共通の理由まで整理します。
注意事項の一覧が覚えにくいのは、並べ方の問題
「装着したまま寝ない」「色の濃い飲食物を避ける」「マウスピースを清潔に保つ」。こうした項目が同じ大きさの丸印で並んでいると、どれも同じくらい大事に見えます。
でも実際には、うっかりコーヒーを飲んでしまったことと、つけたまま眠ってしまったことでは、起きることがまるで違います。前者は次の日から戻せますが、後者は歯ぐきに症状が出ることがあります。
そこで、次のように分け直します。
| 種類 | 破ったときに起きること | どうするか |
|---|---|---|
| ①体に影響が出るもの | 歯ぐきや粘膜に症状が出ることがある | 気づいた時点でやめる |
| ②やり直しが発生するもの | 費用と時間が戻らない | 始める前・使う前に確認する |
| ③結果が遅くなるだけのもの | 進みが少し遅くなる | 取り返せる。気にしすぎない |
順に見ていきます。
①体に影響が出るもの|気づいた時点でやめる
このグループは、続けるほど症状につながる可能性があるものです。明日から直すのではなく、その場でやめます。
装着したまま寝る
いちばん多いのがこれです。テレビを見ながらつけていて、そのまま眠ってしまうという形で起こります。
避けるべき理由は、歯ではなく歯ぐきと粘膜の側にあります。長い時間つけたままでいると、薬剤が歯ぐきや口の中の粘膜に触れ続けることになり、炎症やただれにつながるおそれがあるとされています。マウスピースと歯のあいだにわずかな隙間があると、そこから薬剤が漏れて歯ぐきに流れるためです。
装着時間は1〜2時間が目安とされています。当院で処方するキットの場合は、1日2時間です。
では、一度やってしまった場合はどうするか。まず外して、口をよくすすぎます。そのうえで、歯ぐきの状態を見てください。
- 白くなっている部分がある、ひりつく、痛みがある → その日は再開せず、医院に相談する
- 見た目も感覚も変わりがない → 翌日から通常どおりに戻す
一度あったこと自体で、それまでの分が無駄になるわけではありません。ただ、繰り返さないように、つける時間帯を眠くならない時間に移すことをおすすめします。
ジェルを多く入れる
早く白くなりそうな気がして、多めに入れたくなることがあります。
ただ、多く入れた分は歯に作用しません。マウスピースの中は歯の形に沿った狭い空間なので、入りきらない分は縁からあふれて歯ぐきに流れます。つまり、効果は変わらないまま、歯ぐきに触れる量だけが増えることになります。
適量と入れ方は「ホームホワイトニングのやり方|ジェルの量・装着時間・使用後のケアを手順で解説」で説明しています。
しみているのに続ける
しみる症状が出たときに、我慢して続けるという判断は取らないでください。
しみる仕組みには段階があり、続けていい場合と、一度休んだほうがいい場合があります。その判断の仕方は「ホワイトニングで歯がしみるのはなぜ?知覚過敏の仕組みと3方向の対処」に整理しています。
②やり直しが発生するもの|費用と時間が戻らない
このグループは、症状が出るわけではありませんが、あとから取り返すのに費用や時間がかかるものです。
マウスピースを熱で変形させる
マウスピースは熱に弱く、熱いお湯で洗ったり、車内や暖房の近くに置いたりすると変形することがあります。
変形すると、歯との間に隙間ができます。そうなると、薬剤が漏れて歯ぐきに流れやすくなるうえに、作り直しが必要になります。マウスピースの作製費は初期費用の中で大きな部分を占めるため、ここは費用の面でも影響が出ます(ホームホワイトニングの値段は2つに分かれる|初期費用の大半は初回だけのマウスピース代)。
洗い方と保管の方法は「ホームホワイトニングのやり方|ジェルの量・装着時間・使用後のケアを手順で解説」をご覧ください。
事前の確認をしないまま始める
始める前に、むし歯や歯ぐきの炎症がないかを確認します。ここを飛ばすと、途中で痛みが出て中断することになったり、治療を先に済ませてから再開することになったりします。
確認と治療の順番については「ホワイトニングは虫歯があるとできない?順番を整理すると進め方が決まる」で整理しています。
もうひとつ、前歯に詰め物や被せ物が入っている場合も、先に把握しておきます。人工物は薬剤で色が変わらないため、周りの歯が明るくなるほど差が目立つように見えます。これは進めてからでは戻せない部分です。この場合の考え方は「インプラントはホワイトニングで白くならない|替えられる部分と、色を合わせる3つの選択肢」で扱っています。
③結果が遅くなるだけのもの|取り返せる
最後のグループは、破っても取り返せるものです。ここを①と同じ重さで心配している方が多いのですが、実際には性質が違います。
やり忘れた日がある
1日つけ忘れても、それまでの分がなくなるわけではありません。翌日から続ければ大丈夫です。抜けた日の扱いと再開の仕方は「ホームホワイトニングのやり方|ジェルの量・装着時間・使用後のケアを手順で解説」に書いています。
食事制限を守れなかった
外した直後に色の濃いものを口にした場合でも、色が永久に定着するわけではありません。歯の表面を守っている膜が一時的に外れているため、その時間帯だけ着色しやすくなっている、という話です。膜は時間とともに戻ります。
避けるものの判断基準は「ホワイトニング後の食事は何を避ける?制限の理由と、その場で判断できる2つの基準」にまとめています。
なお、この制限が毎日反復することがつらくなってきた場合は、続け方そのものを見直す話になります。そちらは「ホームホワイトニングのデメリットは1つに集約される|続かなくなる5つの原因と対処」で扱っています。
注意事項が守っているのは、歯ではなく歯ぐきと粘膜
ここまで並べてきた①のグループを、もう一度見てください。
- 装着したまま寝ない
- ジェルを多く入れない
- マウスピースを変形させない(隙間から漏らさない)
この3つは、全部同じことを言っています。薬剤が歯ぐきや粘膜に、長く・多く触れないようにする、ということです。
意外に思われるかもしれませんが、自宅で行う方法で実際にトラブルが出やすいのは、歯そのものより歯ぐき側です。薬剤が触れている時間が、歯より長くなりやすいためです。「歯がもろくなるのでは」という心配のほうが先に立ちますが、そちらについては言われていることの出どころを分けて見る必要があります。その整理は「ホワイトニングで歯がもろくなる?噂の出どころと、実際に歯を傷める行為の違い」で扱っています。
理由がここで1本につながると、項目をひとつずつ覚える必要がなくなります。「歯ぐきに薬剤が長く触れる状況になっていないか」を確かめれば、①はほぼカバーできます。
相談したほうがいい症状と、様子を見ていい症状
自宅で進める方法では、判断も自分ですることになります。目安を表にします。
| 状態 | 考えられること | どうするか |
|---|---|---|
| 歯ぐきの一部が白くなっている | 薬剤が触れた部分の一時的な変化 | 通常は時間とともに戻るとされている。翌日も続くようなら相談する |
| 歯ぐきがひりつく・痛い | 薬剤が長く触れたことによる刺激 | その日は中止して相談する |
| 冷たいものがしみる | ホワイトニング中に起こりうる症状 | 症状の程度で判断が分かれる。知覚過敏の記事を参照 |
| 特定の1本だけ強く痛む | ホワイトニングとは別の原因の可能性 | 中止して相談する |
| 装着中に違和感はあるが外すと消える | マウスピースの当たり | 続く場合は適合を確認してもらう |
判断の方向は2つあります。自己判断で続けないことと、自己判断でやめてしまわないことです。どちらか迷ったら聞く、という形にしておくと、結果的にいちばん早く進みます。
始める前に決めておくと、注意事項が減る
注意事項の多くは、つける時間帯を先に決めておくだけで発生しにくくなります。
眠くなる時間帯を避けて、生活の中で決まっている2時間に組み込む。そうすると「寝落ちする」も「つけ忘れる」も起こりにくくなります。時間帯の決め方は「ホームホワイトニングのやり方|ジェルの量・装着時間・使用後のケアを手順で解説」で説明しています。
東京新宿矯正歯科のホームホワイトニング
当院で自宅用のキットを処方する場合、オンライン診療で歯の状態を確認したうえでお渡しします。始める前の確認を飛ばさずに進められる形です。
キットには、オーダーメイドのマウスピース、濃度10%のホワイトニングジェル4本(1ヶ月分)、知覚過敏抑制剤が含まれます。装着は1日2時間です。しみる症状への備えが最初から手元にあるため、症状が出たときに買い足す必要がありません。
費用は、マウスピースをお持ちの方が月々11,000円(税込)、お持ちでない方は初月22,000円(税込)でマウスピースの作製費を含みます。判断に迷ったときは、24時間対応のLINEで相談できます。「これは相談すべきことか」で止まってしまうのが、自宅で進める方法のいちばんの詰まりどころなので、そこを聞ける窓口があるかどうかは実際に効いてきます。
※ホームホワイトニングは保険適用外の自由診療です。標準費用はマウスピースをお持ちの場合11,000円〜33,000円(税込)、お持ちでない場合22,000円〜44,000円(税込)です(1〜3か月継続した場合。4か月目以降も継続する場合は月々11,000円(税込))。期間・回数は治療内容や歯の状態により異なり、オンライン診療にもとづいて決定されます。副作用・リスクとして、補綴物が取れること、装着中や装着後に歯がしみること、口内炎・擦過傷の悪化等が生じる場合があります。効果や感じ方には個人差があります。
歯科医院で受ける方法もあり、こちらはスタンダードプランが4,980円(税込)から(3回施術を受けた場合の総額は14,940円(税込))、ブーストプランが16,500円(税込)です。自宅での管理を自分でしなくてよいという点が、注意事項の観点では大きな違いになります。来院は最低1回※です。
※通院回数は治療内容・個人の状態により異なります
※オフィスホワイトニングは保険適用外の自由診療です。使用するホワイトニング剤は国内未承認医薬品で、国内で同等の承認医薬品はありません。米国の正規輸入商社を通じて入手しており、米国FDAにおいて安全性が確認されています。リスク・副作用として、個人差がありますが一時的に歯がしみる場合があります。本製品による副作用は、国内医薬品副作用救済制度の対象外です。詰め物・被せ物・差し歯には十分なホワイトニング効果は期待できません。効果の程度・持続期間には個人差があります。
自宅で行う方法の全体像は「ホームホワイトニングとは?費用・期間・効果と、通わずに始める方法を解説」をご覧ください。
ホームホワイトニングの注意事項に関するよくある質問
一度つけたまま寝てしまいました。大丈夫ですか?
まず外して口をすすぎ、歯ぐきの状態を確認してください。白くなっている部分やひりつきがある場合は、その日は再開せずに相談します。見た目も感覚も変わりがなければ、翌日から通常どおりに戻して問題ありません。一度あったことで、それまでの分が無駄になるわけではありません。
歯ぐきが白くなりました
薬剤が触れた部分に起こる一時的な変化で、通常は時間の経過とともに戻るとされています。翌日も続く場合や、痛みをともなう場合は相談してください。次回からは、ジェルの量が多すぎないかを確認します。
食事制限を守れなかった日は、その日の分が無駄になりますか?
なりません。外した直後は歯の表面を守る膜が一時的に外れていて着色しやすくなっていますが、膜は時間とともに戻ります。翌日から通常どおり続けてください。
ジェルが余ったので多めに入れてもいいですか?
多く入れても、歯に作用する量は変わりません。入りきらない分は縁からあふれて歯ぐきに流れるため、歯ぐきに触れる量だけが増えることになります。適量を守ってください。
注意事項を全部守れる自信がありません
3種類に分けたうちの①(体に影響が出るもの)だけを確実に守れば、残りは進みの速さの問題です。どうしても管理が負担になる場合は、歯科医院で受ける方法に切り替えるという選択もあります。
途中で歯科医院に行く必要はありますか?
自宅で進める方法は、基本的に通院せずに続けられます。ただし、症状が出たときや、判断に迷ったときは相談してください。当院ではLINEで相談を受けています。
まとめ|3種類に分けると、守るべき順番が決まる
ホームホワイトニングの注意事項は、破ったときに起きることで3つに分かれます。
①体に影響が出るもの。装着したまま寝る、ジェルを多く入れる、しみているのに続ける。これは気づいた時点でやめます。
②やり直しが発生するもの。マウスピースを熱で変形させる、事前の確認をせずに始める。費用と時間が戻らない部分です。
③結果が遅くなるだけのもの。やり忘れ、食事制限のうっかり。取り返せるので、気にしすぎなくて大丈夫です。
そして①は、突き詰めるとひとつのことを言っています。薬剤が歯ぐきと粘膜に、長く・多く触れないようにする。注意事項の多くが守っているのは、歯ではなくそちら側です。ここが分かると、項目を暗記しなくても判断できるようになります。
東京新宿矯正歯科のホワイトニング
各線「新宿駅」から徒歩5分。クリニックで施術する「オフィスホワイトニング」と、自宅で続ける「ホームホワイトニング」の両方に対応しています。目指す白さや生活スタイルに合わせて、当日ご相談のうえプランをお選びいただけます。
| メニュー | 費用(税込) | 内容 |
|---|---|---|
| オフィスホワイトニング (スタンダードプラン) | 4,980円〜 (3回施術の総額 14,940円) | 過酸化水素配合のホワイトニング剤を塗布し、専用照射器で8分×2回照射します |
| オフィスホワイトニング (ブーストプラン) | 16,500円 | 過酸化水素35%のホワイトニング剤を塗布し、専用照射器で8分×2回照射します |
| ホームホワイトニング | 初月11,000円 (マウスピースをお持ちでない場合は初月22,000円) 次月以降 11,000円/月 | オンライン診療のうえ、オーダーメイドマウスピースとホワイトニングジェル(濃度10%)を自宅へ配送します |
※オフィスホワイトニング・ホームホワイトニングはいずれも保険適用外の自由診療です。
※オフィスホワイトニングで使用するホワイトニング剤は国内未承認医薬品です。国内で同等の承認医薬品はありません。米国の正規輸入商社を通じて入手しており、米国FDAにおいて安全性が確認されています。
※リスク・副作用:個人差がありますが、一時的に歯がしみる場合があります。本製品による副作用は、国内医薬品副作用救済制度の対象外です。ホームホワイトニングでは、補綴物が取れること、装着中や装着後に歯がしみること、口内炎・擦過傷の悪化等が生じる場合があります。
※詰め物・被せ物・差し歯には十分なホワイトニング効果は期待できません。
※効果の程度・持続期間には個人差があります。ホームホワイトニングの標準費用は、マウスピースをお持ちの場合11,000円〜33,000円(税込)、お持ちでない場合22,000円〜44,000円(税込)です(1〜3か月継続した場合)。4か月目以降も継続する場合は月々11,000円(税込)がかかります。
※期間・回数は治療内容や歯の状態により異なり、診療にもとづいて決定されます。
