出っ歯はどうやって矯正するの？

出っ歯は見た目だけでなく、虫歯になりやすかったり、噛み合わせが悪かったりなど、機能面の問題も大きい歯列不正です。

しかし、歯科矯正で改善が見込める症状ですので、出っ歯に悩んでいる方はぜひ治療を検討してみてください。

「出っ歯の治療ってどうやるの？」
「費用と期間の目安はどのくらい？」

本記事では、このような出っ歯にまつわる疑問を解決していきます。

出っ歯とはどのような状態？

出っ歯とは、上の前歯が前方に突出している状態のことです。

具体的には、以下の項目に1つでも当てはまれば、「出っ歯の傾向がある」といえます。

横から見たとき、上の前歯が下の前歯より4mm以上前に出ている
Eラインから唇がはみ出ている
唇が閉じにくい、また、閉じたときにあごにシワができる
上の前歯2本のズレが目立つ

なお、出っ歯には「歯が前に傾いて生えているタイプ」と「あごの骨ごと前に出ているタイプ」の2タイプがあります。

どちらのタイプなのか、出っ歯の原因は何かによって、適した矯正方法が異なります。

出っ歯になる原因は？

出っ歯になる原因は主に2つです。

それは「遺伝」と「癖」。

まず、歯並びやあご・歯の大きさは遺伝します。

たとえば、以下のような出っ歯は遺伝的要因を含んでいます。

あごの骨格から前に出ている出っ歯
前歯が大きくてアーチ内に収まらず、前に飛び出しているような出っ歯

もし、親族の中に出っ歯の方がいたら、遺伝の可能性が疑われます。

また、以下のような癖がある方も、出っ歯になりやすいです。

子どものころ、長期間おしゃぶりや指しゃぶりをしていた
舌で歯を押す癖がある
下唇を噛む癖がある

このような癖は無意識に長年続いていることが多く、遺伝的要因がなくても出っ歯になる原因となります。

出っ歯の矯正はどうやってやる？

出っ歯は、歯またはあごの骨が前に突出している症状のこと。

そのため出っ歯の治療では、基本的に歯やあごを後ろへ下げるように矯正をしていきます。

後ろへ下げる方法は以下の2つです。

ディスキングや抜歯でスペースを作り、歯を移動させる
あごを外科手術で後ろに下げる

ディスキング：歯の表面（エナメル質内0.05mm程度）を歯科用のやすりなどで削る処置。抜歯ほどスペースを作らなくてよいときや、微調整時に行われる。「IPR」「研磨処置」といわれることもある。

出っ歯の原因によってスペースを作る方法が異なります。自分の出っ歯に合った治療法を知るためにも、まずは歯科医師に相談してみましょう。

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出っ歯を治す矯正方法は4つ

出っ歯を歯列に収めるスペースを作ったら、次に歯を正しい位置へ移動させていきます。

出っ歯を矯正する方法は主に次の4つです。

ワイヤー矯正

歯の表面にブラケットをつけ、ワイヤーで歯を動かす方法です。

全体的にガタつきのある出っ歯や、動かす距離が大きい重度の出っ歯にも対応できます。

ワイヤー矯正には、表側矯正・裏側矯正・ハーフリンガル・目立たない装置があり、症例や希望に合わせて選択することも可能です(いずれの方法も表側矯正よりは治療費が高くなる)。

	特徴	費用目安	期間目安
表側矯正	ブラケットとワイヤーを歯の表側に装着する	部分矯正：30万〜60万円全体矯正：60万〜130万円	部分矯正：2ヶ月〜1年程度全体矯正：1〜3年程度
裏側矯正	ブラケットとワイヤーを歯の裏側に装着する	部分矯正：40万〜70万円全体矯正：100万〜170万円	部分矯正：5ヶ月〜1年程度全体矯正：2〜3年程度
ハーフリンガル矯正	上の歯は裏側に、下の歯は表側に装置をつける	部分矯正：35万〜65万円全体矯正：80万〜150万円	部分矯正：5ヶ月〜1年程度全体矯正：2〜3年程度

マウスピース矯正

透明のマウスピースを1〜2週間ごとに交換しながら歯を動かす方法です。

矯正装置が目立たず、食事や歯磨きのしやすさから人気が高まっていますが、自分で矯正装置を取り外しができるので自己管理が欠かせません。

全体的なガタつきが少ない出っ歯や、突出感が少ない出っ歯など、比較的軽度の出っ歯の症例に向いています。

	特徴	費用目安	期間目安
マウスピース矯正	透明なマウスピース型装置で目立ちにくい	部分矯正：10万〜40万円全体矯正：60万〜100万円	部分矯正：2ヶ月〜1年程度全体矯正：1〜3年程度

外科的矯正

骨格から前に出ている出っ歯の場合、歯科矯正だけでは完璧に治せません。

あごの骨格が原因の出っ歯は、歯科矯正と合わせて外科手術であごの骨を調整する(セットバック)必要があります。

外科的矯正は「術前矯正」→「手術」→「術後矯正」が一般的な流れ。

歯科医師による「顎変形症」の診断がつく
厚生労働大臣が定める顎口腔機能診断施設で治療を受けること
ワイヤー矯正(表側矯正)で矯正治療を行うこと

この条件を全て満たせば、保険適用になります。

(マウスピース矯正や裏側矯正で矯正治療をすると自費になる)

	特徴	費用目安	期間目安
外科的矯正	矯正治療と外科手術を併用して、あごと歯を整える	保険適用：50万～65万円保険適用外：140万～400万円	2〜3年程度

セラミック矯正

歯を大きく削り、土台の形にしてセラミック冠(クラウン)を被せる方法です。

前に出ている前歯を、軸が内側になるような土台に削って前歯の突出感を改善させます。

	特徴	前歯6本の費用目安	前歯6本の期間目安
セラミック矯正	自身の歯を土台の形に削り込み、セラミック冠を被せる	30万〜70万円	数週間〜3ヶ月程度