目立たずに歯並びを整られ、矯正中でも普段通り食事を楽しめるため、マウスピース矯正に興味がある方もいるのではないでしょうか。
しかし、「マウスピース矯正で出っ歯は治せる?」「出っ歯をマウスピース矯正で治すといくらかかる?」といった疑問を持つ方も多いです。
そこで本記事では、マウスピース矯正で出っ歯は治せるのか、費用や期間、治療の流れについて解説します。
どこからが出っ歯?
出っ歯は、上の前歯や上あごの骨が前方に突出した状態のことを指します。専門用語では「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」と呼ばれています。
上の歯が4mm以上出ていれば「出っ歯の傾向あり」
実は、通常の歯並びでも上の前歯が下の前歯よりも2~3mm程度出ています。
しかし、上の前歯が下の前歯よりも4mm以上出ている場合は、口元が前に突出して見えるようになり、出っ歯と診断されることがあります。
出っ歯になる原因
出っ歯になる原因は、さまざまですが主に以下のようなことが挙げられます。
- 遺伝によるあごの骨の形や位置
- 上あごの過成長
- 下あごの成長不足
- 舌で上の歯を押す癖
- 幼少期の長期間にわたる指しゃぶり
- 口呼吸による上あごの骨の成長不足
これらの原因が単独で出っ歯を引き起こすことがありますが、いくつかの原因が組み合わさっていることもあります。
出っ歯を放置するリスク
軽度の出っ歯の場合、特に問題を感じずに放置してしまうケースも少なくありません。しかし、たとえ現時点では支障がなくても、放置することで将来的に以下のような問題が生じる可能性があります。
- 見た目へのコンプレックスを抱きやすくなる
- 発音する際に空気が漏れやすく、サ行・タ行が不明瞭になりやすい
- 食べ物をうまく噛みきれず、消化不良を起こしやすい
- 前歯で噛めないため、奥歯や顎関節に負担がかかりやすい
- 口が閉じにくく口腔内乾燥しやすいため、虫歯や歯周病になりやすい
- 転倒やスポーツで前歯を負傷しやすい
出っ歯は見た目だけに焦点を当てられがちですが、日常生活や健康面にも影響を与えてしまう可能性があります。軽度だからといって安易に考えずに、歯科医師とよく相談して適切な治療を受けることをおすすめします。
マウスピース矯正で出っ歯を治すメリット・デメリット
マウスピース矯正は、矯正治療専用のマウスピースを使って歯並びを整える治療方法です。毎日20時間以上装着し、1~2週間ごとに形の異なるマウスピースに交換しながら治療を進めていきます。
目立ちにくいことから選ばれやすい矯正方法ですが、以下のようなメリットとデメリットがあります。
【メリット】
- 透明なマウスピースは装着しても目立ちにくく、周囲の人に気づかれにくい
- 自分で取り外しができるので、食事と歯磨きは普段通りにできる
- 少しずつ力を加えて歯を動かすため、ワイヤー矯正よりも痛みが少ない
- マウスピースは外して洗浄できるため、装置と口腔内を清潔に保ちやすい
- 基本的に金属を使用しないため、金属アレルギーの心配がない
【デメリット】
- マウスピース矯正で改善できる出っ歯の症例は限られている
- マウスピースは1日20時間以上装着する必要があるため、自己管理が求められる
- 自由に取り外しができるため、マウスピースを紛失するリスクが高い
- マウスピースに慣れるまで時間がかかったり発音に影響が出たりする
マウスピース矯正を選択する際は、メリットとデメリットをよく理解しておきましょう。歯科矯正は自分に合った装置を選択することが重要です。歯科医師と十分に相談し、歯並びやライフスタイルに合った治療法を選択しましょう。
マウスピース矯正で出っ歯は治せる?
マウスピース矯正は、歯が前に突出して生えており、なおかつ軽度から中等度の出っ歯であれば改善が期待できます。しかし、骨格的な問題が原因の重度な出っ歯は、ワイヤー矯正や外科矯正を検討する必要があります。
マウスピース矯正が改善できる出っ歯の症例
マウスピース矯正で改善ができる出っ歯は、以下のような症例が挙げられます。
- あごの骨の位置や形に問題がなく、歯が前に生えているだけの出っ歯
- 下の歯が内側に傾いて、相対的に上の前歯が出ているように見える出っ歯
- 全体的なガタつきが少ないが、前歯だけが突出している出っ歯
単純な歯並びのズレによる出っ歯であればマウスピース矯正で改善が期待できます。症例によっては、前歯だけ矯正をする「部分矯正」も可能です。
なお、全体矯正・部分矯正いずれの場合も、前に突出している歯を引っ込めるよう歯を動かします。そのため、歯を後ろに下げるスペース作りのために、歯の表面を研磨する処置(ディスキング・IPR)や抜歯が必要になる方もいます。
マウスピース矯正ができない出っ歯の症例は?
マウスピース矯正で改善ができない出っ歯は、以下のような症例が挙げられます。
- 歯の生え方ではなく骨格ごと前に出ている出っ歯
- 全体的に歯並びが悪く、歯を大きく動かす必要がある出っ歯
- インプラントが埋まっている場合
前歯の突出感が強かったり、歯と歯の重なりが強い部分がある場合は、全体的に歯を大きく動かす必要があるため、マウスピース矯正が適用しないことがあります。
また、「骨格から前に突出している」「下あごが引っ込んでいる」など、骨格に問題があるケースでは骨を正常な位置に戻す「外科的矯正」の検討が必要です。
また、マウスピース矯正は、患者さん自身が装着時間の管理をする必要があるため、自己管理が苦手な方も適していない可能性があります。
あなたの出っ歯がマウスピース矯正で改善できるかどうかは、精密検査が必要です。当院では無料で検査を受けられますので、ぜひ気軽にご相談ください。
マウスピース矯正で出っ歯を治す費用と期間
マウスピース矯正で出っ歯を治す際にかかる費用と期間の目安を紹介します。
部分矯正
費用目安 | 期間目安 | |
部分矯正 | 10万〜40万円 | 2ヶ月〜1年 |
部分矯正とは、主に犬歯から犬歯の前歯6本(上下12本)を対象にした矯正方法です。前歯のみを動かすため、費用や期間が抑えられるのがメリット。ただし、部分矯正が適用される出っ歯には以下のような条件があります。
<部分矯正が可能な出っ歯>
- 噛み合わせは問題なく、前歯だけが前に出ている出っ歯
- 前歯の移動量が少ない出っ歯
- 噛み合わせなど、完璧に治すことを求めない出っ歯
部分矯正は歯を動かせる範囲が限定されているため、全体矯正のように噛み合わせを整えることはできません。部分矯正が適しているかどうかは検査が必要になりますが、前歯の見た目が気になる方や、短期間で費用を抑えたい方に向いている矯正方法です
全体矯正
費用目安 | 期間目安 | |
全体矯正 | 60万〜100万円 | 1年〜3年 |
全体矯正とは、前歯から奥歯まで、歯列全体を対象にした矯正方法です。
部分矯正に比べて歯を動かせる範囲が広いので、費用や期間はかかってしまいます。そのぶん、噛み合わせを整えたり、全体的に歯列を後方へ下げたりできるのがメリットです。
ただし、出っ歯の状態によってはマウスピース矯正だけでは対応できない場合もあり、ワイヤー矯正との併用が必要です。
全体矯正・部分矯正いずれの場合も、歯科矯正前後に検査料や保定装置代などがかかることがあります。事前にこれらの費用も考慮しておくといいでしょう。
また、歯科医院によって支払い方法が異なります。必要なぶんだけ追加で費用を支払う方法(都度払い)なのか、すべて含まれたトータルフィー制なのか、料金体系を把握しておくことも重要です。
マウスピースによる出っ歯矯正の流れ
マウスピース矯正で出っ歯を改善する際は、以下のような流れで治療が進みます。
<マウスピース矯正の流れ>
- 相談
- 精密検査
- 治療計画の立案
- マウスピースの作成
- マウスピース矯正開始
- 保定期間
- メンテナンス
マウスピース矯正は、受診したその日に契約してすぐに始まるわけではありません。まずは、歯並びの悩みや治療への疑問、不安をじっくりと相談できるカウンセリングから始まります。
その後、マウスピース矯正が適しているかどうか精密検査が行われます。レントゲン撮影や歯型取り、口腔内写真撮影など行い、必要な情報を収集。これらの情報をもとに歯科医師が治療計画を立案します。
再度カウンセリングを行い、納得した上で契約に進んだらマウスピースが完成するのを待ちます。
マウスピースが届いたら矯正スタートです。歯科医師の指示に従って、毎日決められた時間マウスピースを装着し、定期的に新しいマウスピースに交換しながら、少しずつ歯並びを整えていきましょう。
マウスピース矯正のブランドによって異なりますが、一般的には1~3ヶ月に1回程度の通院が必要です。
矯正治療が完了したら保定期間に入ります。保定期間中は後戻りを防ぐために、保定装置(リテーナー)を装着します。保定期間は、一般的に矯正治療期間と同じくらい必要です。最後まで諦めずに取り組んでいきましょう。
マウスピース矯正と出っ歯に関するよくある質問(FAQ)
ここでは、マウスピース矯正と出っ歯に関するよくある質問とその答えを紹介します。
マウスピース矯正で出っ歯になることはある?
適切な治療計画が立案され、それにもとづいて矯正治療を行えば、マウスピース矯正で出っ歯になることはありません。
しかし、自己判断でマウスピースの装着時間を短縮したり、交換時期を早めたりすると、歯が予想外の方向に動いてしまうことがあります。
出っ歯を治すと横顔の印象も変わる?
出っ歯は、口元が前に出ているため、横からみると唇が強調されがちです。しかし、矯正治療で出っ歯を治すと、口元が引っ込み「Eライン」に近づきます。
Eラインとは、鼻先とあごの先を結んだ線のことで、美しい横顔の基準の一つ。このラインよりも唇がほんの少し内側に入っているとバランスの取れた印象を与えられます。
マウスピース矯正で出っ歯を治すために抜歯は必要?
出っ歯を改善する際は、前歯を後方に移動させる必要があるため、そのスペースが不足している場合は抜歯が必要になることがあります。
ただし、抜歯すると歯を大きく動かす必要があるため、症例によってはワイヤー矯正が適用になることがあります。抜歯が必要かどうかは精密検査を受けてみないとわかりません。まずは、歯科医師に相談してみましょう。
マウスピース矯正中の歯茎の痛みはどれくらい?
マウスピース矯正中の歯茎の痛みは、個人差が大きいです。ただし、はじめてマウスピースを装着した直後や交換した際は、歯や歯茎に窮屈感を覚えることがあります。
しかし、マウスピース矯正は、1~2週間ごとに新しいマウスピースに交換し、少しずつ歯を動かしていくため、ワイヤー矯正に比べて痛みが少ないといわれています。もし、痛みが強くおさまらない場合は、我慢せず歯科医師に相談しましょう。
出っ歯に関するお悩みは当院にご相談ください
骨格に問題がない軽度~中等度の出っ歯であれば、マウスピース矯正が可能です。
もちろん、出っ歯の原因や程度によって適切な治療方法が異なるため、まずは歯科医師による検査・診断を受けましょう。
なお、東京新宿矯正歯科は、マウスピース矯正「Oh my teeth」を導入しています。30分ほどでマウスピース矯正の適性診断ができ、どのように出っ歯が治るかシミュレーションすることも可能です。
「マウスピース矯正で出っ歯を治したい」という方は、まずは当院の無料診断へお越しください。